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俣野成敏「全力マネージャー」

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■俣野 成敏(またの なるとし)「全力マネージャー」
http://archive.mag2.com/0000275802/index.html

第31回「出会いのハードル」

2009/01/06

潜在顧客に対し、無料でお試しいただく提案をすることがあります。

サンプルとか、サービスとか、情報提供とか、粗品進呈とか、形は違えど無料(又は格安)で何かを提供することを通して、提供する側の都合で潜在顧客との距離を縮めることが目的です。

これを「(無料)オファー」と言います。

実際は、無料ではなくても「お試し価格」とか「初回割引」とか、潜在顧客に使ってもらうハードルを下げる行為のことを指します。

ここで忘れてはならない基本的な考え方は、価格決定権は売る側に、購入決定権は買う側にあるという点です。

つまり、使うか使わないかは100%買う側の手の中にありますが、価格を決めるという行為については売る側の都合によるものです。

ところが、利益を度外視してまで最初のお付き合いを求める行為を売り手が提案しているにも関らず、返って潜在顧客を遠ざけてしまう結果になってしまうことがあります。

たとえば、業界では有料が当たり前のものを無料で提供する場合、「タダで提供してあげている」という態度になってしまったり、最悪の場合には、「無料なのにもっと感謝したらどうなんだ」といわんばかりの態度になってしまうことがあるのです。

せっかく商売する側からハードルを下げて歩み寄り、将来の顧客候補との最初の接点を求めているのに、「2度目はありえない」と思われる接し方をしてしまい、潜在顧客の可能性を抹消します。

大事なのでもう一度書きます。

価格を決めたのは、あくまでも商売する側の身勝手な都合です。売る側に儲けがあるかないとかは、顧客には関係がないことで、ただ提案を受けるか受けないかの選択に過ぎません。

(プロとしての)最低限の存在価値がないと認知されるために、出会いのハードルを下げてまで、マイナスのPR活動をするということがないように留意したいものです。

商品やサービスの良さを実感してリピートしてもらうこと以外に、わざわざ出会いのハードルを下げる理由はないのですから。

■ 行動へのヒント
□ 無料やお試し価格でもプロとしての品質を保っているか、見直す。


第32回「上司の仕事を取る」

2009/01/11

出世には、以下の2原則があるとみています。

(1) 上司の仕事を取る。
(2) 自分の島をつくる。

今日は、その内の1つである「上司の仕事を取る」という考え方について、一つのアプローチの考え方を共有します。

「上司の仕事を取る」という意味は、仕事の質を上げることです。

上司が担っている仕事は、(例外も嫌というほど見てきましたが)基本的には、自分の仕事よりも質が高いという前提に立ちます。

今の舞台で活躍できてこそ、次の舞台からお呼びがかかります。

現職の活躍ということに的を絞り、そこを狙い撃ちすることで、自分の仕事がランクアップされていくと仮定するのです。

自分の身体はひとつしかなく、時間も有限なわけですから、仕事の中身をバージョンアップするという発想が大切です。

どういう状態なら「そうなっている」と判断できるかと言えば、上司からの指示無しで動ける環境に持っていけてるか否かです。

上司から見ると、「あいつはノーマークでいいや」という状態、部下から見ると、事後承認を恐れない仕事のやり方と言ってもいいでしょう。

このノーマークが生れる環境をどうやって培うかということが、上司の仕事を取るという発想です。

誤解しないで欲しいのは、こうして上司の仕事を取った結果として、その上司を窓際に追い込もうという作戦ではありません。

上司には、ぜひ空いた時間でもっと質の高い仕事をしてもらい、あくまでも全社的な仕事の質を高めようとすることが狙いです。

とは言え、上司も自分の仕事に責任感を持っているでしょうから、黙っていても「はい、これどうぞ」ということにはなり難いです。

このようなジレンマを解消することが障壁となるからこそ、出世に差がついていくという見方もできます。

では、どういうルートが結果的に近道になるかと言えば、社内に飛び交う指示や指導を目の当たりにする機会を増やし、その内容に向けてただ動くだけでなく、「この指示を自分が出せないか?」「この指導を自分ができないか?」というふうに考えてみるのです。

こういう思考に切り替えると、日々の仕事の姿勢が変わります。
「仕事を請け負う姿勢」から「仕事を分け与える姿勢」にスイッチが切り替わらざるを得ないのです。

これが、上記の「仕事を取る」と言うニュアンスになります。
たとえ結果的に取れなくても、そういう思考を続けていると、自分の仕事を人に渡すことも次第に上手くなってきます。

自分の仕事についても、あたかも自分という商品を取り扱うように、いかに仕入、いかに売るかという回転を意識します。

仕事が入れ替わるに連れて、仕事の質も上がらざるを得ません。

■ 行動へのヒント
□ 「上司の仕事を取る」という視点を持ってみる。


第33回「現物主義という考え方」

2009/01/19

「商品を知る」とは、商品知識の有無だけを指すものではありません。
ましてや、パソコンの管理画面と睨めっこしているだけでは見えてこない景色があります。
もし、あなたが小売業を生業としているなら、店舗をマネジメントしていく上で、商品知識以上に大切なことがあります。
それは、自社の商品がどこに何がどれだけあるという肌感覚として持つことです。

理論値ではなく、現物です。

自分自身で整理整頓についての社内規定を作るくらいの気持ちで、空き時間を見付けては、ひたすら整理整頓することを率先します。
できる店長は、このことを店長になってからも率先して行います。
そうでない店長は、このことを勝手に卒業してしまいます。
商品管理というものは、現物に始まり現物に終わりますから、現場を預かる立場にある以上、現物主義に卒業はないのです。

現品整理は単純作業に過ぎませんが、4つの効果があります。

(1) 売上の向上
最高の状態を顧客に見せようとするからです。
倉庫や棚下にある商品は、顧客に知る由はありません。
売る側が分からない以上、商品陳列も満足にできなければ、ニーズに合致する顧客が目の前にいたとしても提案ができません。

(2) 粗利の向上
在庫状況を手に取るように把握しているということで、仕入れが上手くなるのはもちろん、現品に気を払う態勢となりますから、紛失や盗難が目に見えて減ります。

(3) 管理力の向上
データ管理とは、あくまでも現物があっての代物です。
現物把握ができていれば、現物と付け合せる伝票、伝票を反映させる管理データ等が、しっかりと見えてくるようになります。

(4) クレームの減少
現物を知るということで商品の状態が分かってきますから、クレームになりそうな商品を顧客に渡る前に排除させられます。
検品をしっかりやっていても防げないことでさえ、常に現品を確認する態勢をとっていると感知できるようになるのです。
これをやらない店舗は、「販売第一」という標語を掲げて販売に専念したとしても、顧客の失望から来る潜在的なクレームの呪縛から意気消沈するはめになります。

商品とは、仕入れ前は慎重に、仕入れ後は貪欲になるべきものです。
慎重になるから、必要なものを見極めて仕入れするように努力し、貪欲になるから、仕入れた現物を重要視するようになります。

現物主義を意識付けして習慣を身に付けないと、これが逆転し、仕入れ前は貪欲に、仕入れ後に慎重にという本末転倒な反応になってしまうのです。

現物主義は、仕入れ後に貪欲である意識の表れなのです。

■ 行動へのヒント
□ 「現物主義」とは何か、考えてみる。


第34回「現在地という基点」

2009/01/24

「カーナビの登場により、一番画期的だったことは何ですか?」というような質問をすると、「地図を見なくても目的地に行けることです」「ルートが選択できることです」「ルートを間違えても軌道修正できることです」「検索機能があるので住所が分からなくてもよいことです」・・・ というような答えが返って来ることが多いです。

しかし、あえて一番というなら、それは【現在地】が分かることです。 

地図を見てどこかに進もうとしたって、現在地が分からないことには話になりませんし、逆に言うと、現在地が分かるから先に進む計画を立てることができます。
言われてみれば当たり前のことですが、ビジネスについて考える時、私たちは、ついつい忘れてしまいがちなのです。

現状の課題を突き詰めてみたら、現在地が分からないまま突き進んでしまったことが原因だった…というようなことは、よくあることです。

たとえば、他人の真似をしたい時に一番注意しなくてはならないのは、現在地を無視して模倣した挙句、結局遠回りになってしまうことです。
現在地が違ってるということは、スタート地点がずれているのです。

他人の真似をしようとする場合は、差を考慮しなくてはなりません。
現在地が分かってくると、全体像が見えてきます。
全体像が見えてくると、その差も実感できますから、

・他人よりスピードを上げて前に進むなり、
・他人が休憩している間に前に進むなり、
・お金を使って距離を縮める手を打ったり、
・・・ というな発想に至ってくるわけです。

つまり、現在地を知ることは、自分が何者であるかを知ることです。
自分以外の誰かに、自分が何者かを決めてもらうことはできません。
個人のキャリアビジョンにしても、ビジネスの構想を練るにしても、意外な盲点となることがありますから、留意してみてください。 

ビジネス用語では、「ポジショニング」ということもありますが、上手い人は、ココを知るのに相当な労力を費やしているものです。

■ 行動へのヒント
□ 個人やビジネスの戦略を練る前に、現在地という位置付けを考える。


第35回「面接官が脱力する4つの方法」

2009/01/31

年間100人単位の面接をし始めた頃から、自分が面接官をする上で、力が抜けてしまう瞬間というものを客観視できるようになりました。

主なところでは、以下の4つに集約されるような気がします。

(1) 会社のことを調べてこない。
これから自分の大切な時間を投じることになるかも知れない会社なのに、何も調べてこない人がいます。
たとえば、小売店の接客業務を希望している人なら、調べるだけでなく、実際に何度でも好きなだけ下見をすることができます。
どんな雰囲気の職場なのか、どんな客層が買い物しているのか、どんな商品が並んでいるのか、・・・等々。
現地に一度も足を運んだことがないという人さえいます。

【時間=命】です。

こうして、自分の時間を大切にしようとしない人が、自分以外の会社の仲間や顧客を大切にしてくれるとは、考えにくいものです。
逆に、準備段階できちんと調べた結果、最初の内は興味があった人でも、応募には至らないこともあるでしょう。
その人と企業の間には、表面上の出会いの接点は発生しませんが、場当たり的な行動で面接に臨んできて時間をムダにする人よりも、お互いの時間を大切にしていることになります。

(2) できること、やりたいことを言わない。
会社が人を雇うのは、投資です。
投資である以上は、給与を上回る貢献を期待するものです。
自分がどんなポイントで貢献したいのかを主張しないことには、本人と会社の希望がミスマッチを起こす可能性があります。

【やりたいこと×できること=貢献】

ですから、活躍の舞台をイメージできなければ、応募する側も採用する側も無責任です。

(3) 自分の都合ばかり言いたがる。
自分の都合ばかりを主張する人は、会社の仲間や顧客の立場から何かを考えるという習慣が無さそうに映ります。
組織に属するということは、自分以外の誰かのために貢献するということです。
自分ではなく、会社と顧客の都合を満たすために仕事があります。
相手のために自分がどう役に立つかという視点も必要なのです。

(4) 過去や現状の不満を述べる。
人生は、自分の選択の上に成り立っています。
今の自分が思うように行っていることも、行っていないことも、すべては自分の責任だと考えることから始まります。
自分の人生に責任を持てない人は、自分の外に不満を求めます。
上手くいかないことを他人の責任と感じてしまい、他人からの協力や賛同が得られないことに不満を覚えてしまいがちです。
現状の不満を自分以外に求める人は、これからもそうなる可能性が大きいと思えます。

これから面接に向かう予定のある方達は、ぜひ参考にしてください。

■ 行動へのヒント
□ 面接の御法度について、自分なりに考えてみる。


第36回「2つのコツ」

2009/02/08

「成功のコツは2つある」

イエローハットの創業者、鍵山秀三郎さんが、ある講演会場で話をされたことがあるそうです。
皆さんは、何だと思われますか?
その会場の方から、いろいろな答えが返ってきましたが、鍵山さんは、こう言いました。「コツは2つといったでしょ」「【コツコツ】です」

「コツコツやろう」と言うと、「そうか、ゆっくりマイペースでやれば良いのか!」と早合点する人もいますが、プロの世界ではなじまない考え方です。

自分が顧客の立場にある学生には許される特権かも知れませんが、プロの世界は、あくまでも顧客の期待が前提としてありますから、マイペースではなく、あくまでも受け手の期待するペースで仕事を組み立てて行く必要があるからです。

つまり、期限が同じなら「1日だけの頑張りに過度の期待をするのではなく、到達点を変えずに負荷を分散させる」というやり方の方が有利なのです。

とりわけ、頭を使うクリエイティブな仕事は、熟成期間を置いていかに発酵させるかで差が生まれることとが往々にしてあります。

「どうしてそんなことを思いつくの?」という人が周りにいたら聞いてみてください。そのことをずっと考えていた人ですから。   

今日の自分は、あなた1人だけです。

しかし、例えば、同じことを10日間に分散させるという考え方を持つことにより、今日を含めた10日間に自分に負荷を分散させるということも言えるのです。それが365日の掛け算だとしたら…。

人より能力が劣るもので同じ結果を得たいのなら、早めにスタートを切るか、多くの時間を投ずるしかありません。

ましてや他人より優れた成果を出したいのなら、言うに及ばず。

1回辺りの負荷を減らせば、継続のハードルも下がりますから、大きなものを動かすための実現の可能性は一気に高まります。

メジャーリーガーのマリナーズのイチロー選手は、こう言います。

『小さいことを重ねることが、とんでもないところに行くただひとつの道』

時間軸をなるべく長く取り、長期間接した方が、長く良い結果を生み続けられるという生き証人でもあります。

今日のあなたは独りぼっちでも、毎日の自分なら多勢なのです。
接触頻度を効果的に上げていくことで、分身の術の使い手になります。

■ 行動へのヒント
□ なるべく小さく分け、積み重ねられる価値はないか、考えてみる。


第37回「社内造語のススメ」

2009/02/16

会社内部の大事なやり取りでは、同じ言葉で価値観や考え方を共有してるつもりでも、実はまったく通じていなかったり、別の意味に誤解されてしまうという落とし穴があります。

「ウチに限ってそんなことはない」というマネージャーがいたら、
・ コミュニケーションの鬼才
・ どうにかして克服
・ 組織を持たない効率的なビジネス
・ 単にすれ違いの人生
このいずれかである可能性が高いです。

使っている単語は同じでも、解釈の仕方は千差万別であり、相手が分かったふりをしているということだけが原因ではなく、実は独自解釈で言葉の意味を理解してしまうことが多いのです。

伝える側が、できるだけ分かりやすい言葉で表現しようとする努力をすればするほど、言葉には解釈の余地が生まれますから、社内間の伝達では、皮肉にも通じ難くなっていきます。

そこで、言葉のニュアンスには幅があるから、解釈の違いが生じるのは仕方ないと覚悟を決め、これは誤解を与えたくないという言葉については、造語をして置き換えてしまうのです。

具体的には、以下のような3ステップで社内造語を創ります。

(1) 自分の意思を伝えるためのシンプルな言葉を用意する。
(2) 色々な同義語に置き換えてもらい、概念を共有化する。
(3) それ自体では意味を成さない別の言葉に置き換える。

いろいろ考えて実行してみた結果、これは効きます。

たとえば、僕の頭の中では、「意思決定」と「事務処理」という2つの言葉は、マネジメントをする上でとても大切な言葉であり、頭の中で明確に区別しています。

毎日の経営で、これらが入り混じるということは有り得ません。

ところが、どうもこの2つの言葉の真意が通じない場面が多く、どうしものかと考え抜いた先の閃きが、社内造語という考え方だったのです。

早速、幹部を集めて試してみました。

・「意思決定」と「事務処理」という言葉は相容れない
・「意思決定」→「事務処理」という順番で事は進む

という前提を理解してもらった上で、「意思決定」をホワイトボードの左側に、「事務処理」をホワイトボードの右側に書き記し、真ん中で線を引いて分け、2つを自分の言葉に次々に置き換えて貰いました。

同じ日本語でも、怖いくらい解釈が異なることが浮き彫りになります。 

そして、それぞれの言葉のニュアンスを意見交換しながら軌道修正し、言葉の概念を深めていく内に、「『意思決定』や『事務処理』とは、そういう意図だったのか!」というふうに、受け手との共通理解が確かなものになっていきます。

そこでできた共通概念を元の言葉に戻してしまうと、又微妙なズレが出てきてしまう可能性がありますから、ここからがポイントです。

「今後は、【意思決定=左側】・【事務処理=右側】と呼ぶことにしましょう」という具合に社内造語を創って、浸透させます。

この3ステップを踏んで、曖昧な日本語が共通言語になります。

「右」とか「左」とかいう概念的な言葉なら、そもそも誤解していたら話が噛み合いませんから、誤魔化すことが難しくなります。

そういった意味では、解釈に幅のある一般的な言葉より有効です。今では、これらが誤解なく社内で自然に使われるようになりました。

ただし、社外で社内造語を頻発させても通じることはありませんし、変な人に思われてしまう可能性もありますので、その点はご留意を。

■ 行動へのヒント
□ 社内造語という手法で乗り越えられる言葉の壁はないか、考える。


第38回「自分という付加価値」

2009/02/23

意見をまとめる スタッフをまとめる 企画をまとめる 等々・・・・・

このように【まとめる】という言葉が、リーダーシップの代名詞として、使い勝手が良い言葉のように使われることがあります。

確かに便利な言葉ではあるのですが、どうも自分の感覚とは違う意味で使われているパターンがあるということに気が付きました。

それが、この2つです。
(1) アンケートをとってしまう
(2) 伝書鳩になってしまう

2つの共通点は、自分の付加価値を付けてはいないということです。

(1)は、最大公約数や平均値をとって答えとしてしまうパターンです。
いくら最大公約数や平均を切り取っても、何も語ってはくれません。
アンケートというものは、上手に問いを用意すれば、個々の認識を参考にできることもあるのですが、あくまでも局地的な情報であり、我々マネージャーはアンケート屋さんではありませんから、情報を寄せ集めることと【まとめる】という行為には、区別が必要です。
憂慮すべきは、やってる本人が仕事をした気になってしまう点です。
意味の無いことを1回や2回やることがあったとしても、無意味なことを検証できずにやり続けるくらいなら、やらない方がマイナスにならない分だけ合理的とも言えるのです。

(2)は、単なる転送でスルーパスしてしまうパターンです。
例えば、問い合わせをそのまま誰かに転送して答えを得ようとする。
答えを得たら、質問主にそのまま転送するという類のものです。
これでは、マネージャーではなく、オペレーターです。
仕事とは、自分が存在する意味を価値として積み重ねることです。
これを世間では付加価値と言ったりします。

ですから、もし自分がマネージャーとして関わる仕事があるなら、自分が理解や納得ができてないことを関係者に流すということは、わざわざ自分ブランドを傷付ける自傷行為です。

その仕事の付加価値は、何ですか?

■ 行動へのヒント
□【まとめる】という行為について、自分なりの定義を考える。


第39回「社員教育の目的」

2009/03/02

社員教育の目的は、本人に活躍してもらうこと以外にありません。

相手を活躍させることが教育の最終ゴールだとしたら、「鬼になるべきか?」とか「仏であるべきか?」というプロセスで迷うことは、あまり意味をなさないことです。

たとえば、「時間を守ることの大切さ」を教育したいとします。

ありがちなミスは、罰則規定で脅しをかけることです。ルール違反した者に仏面はありえず、情けは無用というわけです。

これは、昔の学校や体育会系の上下関係でもてはやされたやり方かもしれませんが、社会人教育の本質からは、少し外れています。

確かに、社会人として最低限のルールを守れないことについては放置できない由々しい問題ですが、遅刻者に始末書を書かせたり、罰金規定を設けてペナルティーを強化することが、根本の解決策になるとは限りません。

むしろ、その奥底には、「自分はマネージャーとして厳しく指導しているので落ち度はない」という自己の保身すら見え隠れしてしまうことがあるのです。

もし10:00オープンのお店に9:30までに出社して貰いたいとしたら、「なぜ、このお店では9:30までに出勤して貰う必要があるのか?」という意味を教育します。

例を挙げるなら、
「このお店では、朝一番に来てくれるお客様を最高の状態でお迎えしたいんだよ。あなたがお客さんの立場だとして、スタッフが準備しながら片手間でお出迎えしたり、約束のオープン時間になってもまだ扉が閉まってるようなお店にまた出掛けたいと思うかい?」

「老舗百貨店のオープンの時間帯に出掛けてみたことあるかい?お客様をお迎えするために万全の準備をするのが開店準備であり、それ以外の目的はないのだから、最初に入店するお客さんは全員から歓迎を受けて当然なの。王様気分を味わっていただくんだよ」

というふうに、仕事のルールに上司が考える意味を重ね合わせて繰返し説いていくということが、大人の教育というものです。

罰則で統制する組織では、自らの痛みを避ける行動を優先します。スタッフの痛みを避ける行動が、お客様が喜ぶことですか?

仕事の意味を教えていく店舗では、すべての仕事が意味を持った行動としてハイパーリンクしていきます。

自らの喜びを追求する行動が、お客様を喜ばせることになれば、仕事が楽しくなるのではないでしょうか?

■ 行動へのヒント
□ 社員教育の目的について見直す余地はないか、考えてみる。


第40回「ムダの効用」

2009/03/10

『 私は実験において失敗など一度たりともしていない。これでは電球は光らないという【発見】を今までに2万回してきたのだ 』
トーマス・エジソン氏が遺した有名な言葉です。

これは、ビジネスに限ったことではありませんが、なにかのツボを心得ている人は、無駄(ムダ)を知っています。

もちろん、最初から何がムダか知っているのではなく、ムダを避ける努力をしながらも、ムダというものを嫌悪していません。

ツボという確信は、多くのムダの積重ねの上に存在するからです。
そして、何かの分野で成果を上げる人は、ムダの先にあるツボの有り難味に重みを感じています。

しかし、この感覚がない人は、ムダの価値を認めたがりません。
自分がムダをしたくないというわりには、他人のムダが生んだ成果には平気で甘えたりします。

たとえば、「今この人がこの本を読んだら絶対に意味がある」と確信して、100冊に1冊の名著をその人のためだけに紹介しても、「読まない」という不思議な行動をとってしまうことがあります。

それは、書籍代と今の財布の中身を相談してしまうからです。

逆に、ムダの中から確信を得るという行動を経験している人は、行動を起こすことにためらいがありません。100冊に1冊の確率というような概念を承知していて、その低確率がもたらす価値というものを自らの経験から覚っているからです。

つまり、書籍代と将来に生み出す価値を比較しているのです。

前者の人は、書籍というものをハード(紙媒体)として計算してしまっていますが、後者の人はソフト(知恵)として捉えてます。

別の例で考えてみましょう。

目前の扉の向こうに自分の理想とする世界があるとします。

ところが、その扉には鍵がかかっています。
残念ながら、周囲には、助けになるような存在はありません。 

「何とかこの扉を開けることができないか?」と思って周囲を見渡してみると、なんと足元に鍵が落ちています。

そういう状況にあったら、あなたならどうしますか?
この話だけなら、足元にある鍵を迷うことなく差し込んでみると返答すると思います。

ところが、ムダの価値が解らない人は、そんな状況が目の前にあったとしても、快く鍵を差し込んでみることはありません。

なぜかと言うと、落ちている鍵が1つだけじゃないからです。
無数に落ちてる中の幾つかということが、世の常だからです。

このように無数にあることが実態でも、エジソンが言うように、【ハズレというものは、違うという発見である】という発想が持てるなら、いちいち失望することには繋がらないものです。

このような考え方の違いが、大きな心理的な障壁となります。
その障壁が参入障壁となって、成果を出す人と出せずにいる人との違いを生んでいる一つの要素につながります。

■ 行動へのヒント
□ ハズレを引くことに恐れは無いか、自らの行動を振り返ってみる。


第41回「人材活用の入口」

2009/03/23

先日、ある新規出店の採用のために、大手広告会社が主催する関東での合同面接会に参加しました。

参加企業が共同出資でホテルの大広間を貸しきって、各々のブースを構えて面接を行う形式のものです。

応募者を合同面接会場に集めるために、参加企業が共同で新聞の折込広告を出すのですが、 求人広告を業者任せにしている企業がほとんどであるため、どの会社の告知も特徴がないものになっているのが現状です。

これは、事前には知らされていなかったことでしたが、その面接会場に某TV局の看板番組が取材に入ってきました。
ビジネスパーソンなら、誰でも知っているような人気番組です。

我々には特に関係のないことですから気にせずにいたところ、ディレクターが当社のブースに密着取材の申込をしてきました。
面接やその後のインタビューを撮らせてほしいというのです。

数ある企業から当社を取材先に選んだ理由を尋ねてみたところ、「求人広告を見てから決めた」ということでした。

求人広告は、中小企業にとっては生命線と言ってもいいくらい、すべての活動の入口となるものです。

その広告では、当社は競合他社の10倍の応募者を獲得しました。
同じ広告スペースであるにも関わらず、です。

その競合他社の広告の特徴は、「誰でもウェルカム」なものです。
誰でも歓迎の内容では、誰も自分に対するメッセージであるとは認識してくれません。

なぜそのような画一的な誤りを犯してしまうかと言えば、原稿製作を広告業者任せにしてしまうからです。

当社では、「募集要項」「ロゴ」「写真」等のビジュアル要素は最低限度に留めておき、代わりに自分達の文章によって応募者が知りたいことや疑問を先回りすることを意図します。

そして、ボトルネックは、1日に面接できる上限人数ですから、ただ集めることよりも、無為に集めないことに注意が必要です。

どう考えてもご縁がないと思われる方にお越しいただくことは、お互い時間のムダであるばかりでなく、相手に失礼なことです。

共感して貰える人に届けるべき内容はしっかりと織り込みながら、そうでない人には来ていただかなくても済むように工夫します。

当社では、セールスレターやクレーム対応の詫び状と同じくらい、細部にわたって神経を使い、求人広告の原稿を作成します。

外部に出す情報は、いつ誰が見ても会社の顔となるものですから、毎回の経験を無駄にすることなく、工夫に工夫を重ねるのです。

今回の参加費用は、広告+会場で15万円程度のコストでしたが、そのTV番組に会社名が一瞬でも出るとしたら、投資の何倍もの価値を生み出す副産物となります。

■ 行動へのヒント
□ 求人広告の自社における位置付けを確認しておく。


第42回「指示の重み付け」

2009/04/04

不景気になると、大企業を中心にコストダウン運動が始まります。
アルファベットと数字を組み合わせた略称をスローガンのように掲げることも特徴的です。

節約を心がけて支出を減らそうと努力することは、大切なことに違いないのですが、企業にとって、節約とは不景気になったから急に必要になる祭りごとではなく、習慣として常に行うものです。

グループ会社で数字を掲げ、X円とかY%とかいう具体的数値を掲げてコストダウンを推進することまでは理解できる範囲ですが、気をつけなくてはならないのは、上司から部下への意思伝達は、同じ重み付けで受け取られてしまいがちであるという現実です。

たとえば、もしあなたが小売店をマネジメントしているとしたら、販管費(販売及び一般管理費)の8割が家賃と人件費で占められているなどということは、けっして珍しいことではないはずです。

もし販管費の8割が家賃と人件費ということなら、どう考えてもその8割をいかにフル活用するかということに会社の資源を集中させることが肝要になりますから、この部分を手を変え品を変え改善し続けます。

ところが、不景気になったから節約キャンペーンを大々的にやるということになると、真面目な気質のスタッフであればあるほど、「そうか、節約することが一番大事な仕事なのか!」という風に誤解してしまいかねません。一番に大切にすべきことを見誤ってしまう怖れが出てくるのです。

「何に重きを置くか?」という優先順位を身体で理解してもらうためには、やはり上司から部下への伝達の頻度でコントロールをするということが正攻法です。

先の例で言う経費の下位2割については、そうならざるを得ないように仕向けたり、なんとか気付いてもらえるような質問の投げ掛ける程度に留めておき、トップからの発言として受止められることにならないよう、なるべく我慢します。

他の大切なことと同じ重みに聞こえてしまうかも知れないから、あえて言わないでおくということも時には必要なことなのです。

■ 行動へのヒント
□ 指示の重み付けと伝達の濃さの兼ね合いについて、考えてみる。


第43回「マニュアルとノビシロ」

2009/04/21

一般企業では、仕事のやり方をマニュアルやルールの下で雁字搦め(がんじがらめ)にすることが多いものです。そして、その縛りから解き放たれるタイミングは、自分が逆に雁字搦めにする立場になった時になりがちです。

自分も制約を受けていて伸び代(のびしろ)部分が少なく、成長の余地が限られていた頃の疑問を長時間をかけて忘れてしまうのです。

同じ仕事でも、仕事の渡し方は、相手や内容によって変わって然るべきです。
固いものと柔らかいものがある、というニュアンスです。なぜなら、部下の強みや習熟度が同じではないわけですから、ある分野では、上司よりも良い仕事をする部下が多いからです。(むしろ良い仕事をしてくれることの方が多い)
もっと言えば、上司が出す指示や自分が正しいと信じてきたやり方には、改善の余地が大いにあると思っていたほうが、健全です。

従い、マネージャーとして忘れてはならないことは、マニュアルを独りよがりなものにしてしまわない、ということになります。

価値観が共有できている部下が、自分の強みを発揮している分野においては、ふんわりとした指示に留めておき、プロセスには余計な口出しをしないように努力します。

その分野においては、会社のことを全部任せるくらいの気持ちです。

ある人が、ひとつの分野で全社的に横串を通すことができたなら、その人には、あることが見えてきます。それは、組織の中には最初から当たり前に存在しているものなんて何ひとつなく、必ず誰かが何かの意図をもって仕掛けてくれた結果であるという真実です。これが、感謝の心に繋がっていきます。

逆に、誰かの弱みをカバーすべき分野においては、「これでもか」と言わんばかりの細かい指示を出して型にはめてしまうことで、組織としての水準を守っていきます。

組織の構成員が増えていくにつれて、新旧が入り混じる状態となり、全員とあうんの呼吸をとることが難しくなる頃に、マニュアル整備の必要に迫られるというのも、このためです。

日頃から価値観の共有に時間をかけておき、多少の不安があっても任せてみなければ、思った以上の成果は得られにくいものです。

そして、成果や内容に不足を感じる部分については、重点的な課題としてコミュニケーションを強化して差を認識し、細かくプロセスを指定したり、やり方を変えたりしながら、強弱をつけていきます。

マニュアルや仕事のスタイルをみんなで作れたら、やはり強いです。
マニュアルというものは、強みから弱みへの引継ぎ書なのですから。

■ 行動へのヒント
□ 柔らかい指示と固い指示の違いについて、考えてみる。


第44回「ER」

2009/04/26

もう遥か昔の話になってしまいますが、当時まだ大学生だった私は、夏休み限定で募集があった東京ディズニーランドで短期アルバイトをしたことがあります。
少し通勤時間はかかりましたが、長年にわたって多くの人々を魅了し続けるディズニーランドの裏側をのぞいてみたくなったからです。

結論から言うと、その甲斐がありました。

学生時代には数多くのアルバイトをしましたが、ディズニーランドでの夏休みのアルバイト経験は、自分で組織を持つようになった今になっても考え方に影響を受けていることが多いのです。

そのエピソードのひとつに、【 集客の状態によってアルバイトを快く早退させる 】というものがありました。

集客の読みが外れてしまったから、アルバイトを帰宅させ、後は社員で乗り切るというだけの話なら、企業側の都合をアルバイトに押し付けてしまっているだけのありきたりな話に過ぎませんが、その仕組みでは、アルバイトとしても喜んで早帰りを受入れます。

なぜなら、帰した後の時間給を半分は支払うからです。

例示します。
例えば、20時までアルバイトを予定している人がいるとします。でも、やはり商売ですから予想に反して暇な日もありますね。
そんな時、正社員がアルバイトに向かってこう言います。
「今日、17時でERね。」(たしか「ER」と呼んでいたような記憶がありますが、もし呼び方が間違ってたらごめんなさい)
アルバイトとしては、お店が忙しくないという事実は認めるにしても、その指示が出た後の3時間(17時~20時)分の時給は、稼げる計算をしていたはずです。そこで、時給の半分を計上します。
仮に、時給1,000円だとしたら、500円×3時間=1,500円を無条件支給します。“ER”とは、その制度の合図だったのです。

ここまで書けばもうお分かりだと思いますが、企業にしてみれば、固定費の削減です。社員だけで充分回せると判断した訳ですから、アルバイトが必要ないと判断した後の人件費を半額にするのです。
一方、アルバイトにしてみれば、ERの3時間は遊んでても半分の時給が保障されます。

この手法の説明を受けた時、なんて合理的な仕組みなんだろうと学生ながらに感心したものです。

今になって考えてみると、ヒマな空気が施設内に漂うくらいなら、正社員だけが残って頭数を減らし、残った者で汗をかいて活気を出そうという効果も計算していたのかも知れません。

■ 行動へのヒント
□ 組織と個人の両方がハッピーになる仕組みはないか、考えてみる。


第45回「接客の意味」

2009/05/12

ビジネスを提供する側にとって、【 接客の目的 = 生涯顧客を作ること 】にあり、これに当てはまらないものは例外であるという考え方は、このメルマガでも以前に触れました。

では、顧客の側から見て、接客を受ける意味とは何でしょうか?それは、プロの目から見た判断材料を提供してもらうこと、です。たとえば、

顧客 「何分くらいかかりますか?」
店員 「(所要時間については)分かりかねます」

顧客 「私にはこのサイズでどう思いますか?」
店員 「(サイズについては)お客様次第です」

顧客 「すいませーん」
店員 「少々お待ちください」

このような受け答えは、顧客が判断するための材料ではなく、判断できなくなってしまう材料を提供してしまっています。つまり、これらは、プロの目から見た判断材料ではなく、 素人でも見りゃ分かる状態を言葉にしているに過ぎません。

顧客がプロに期待する接客の意味がすれ違っているわけです。もっと言えば、会話になっていない。
そういうことも分からない状態で店頭に立ってしまうと、「今日は買う気のない冷やかし客ばかりだ」というように、何でも外部要因にしようとする癖が自然に付いてしまいます。

“プロの目”は、少なくとも顧客よりも肥えているはずです。
「(所要時間については)分かりかねます」と言うくらいなら、多少外れても良いから「15分位のお時間をみていただけますか」 というような判断材料を提供してもらいたい。

「サイズについてはお客様次第です」と言うくらいなら、「このサイズで問題ないと思いますよ。もしXXが気になるようでしたらYYという手もあります」というような判断材料を提供してもらいたい。

「少々お待ちください」と言っていつになるか判らないよりは、「2~3分ほどお待ちいただけますか」というような判断材料を提供してもらいたい。

見込客はそんな風に思っていますが、判断材料を与えてくれないから、顧客になりたくてもならせてもらえないというだけでなく、その対応について怒りをあらわにすることになってしまいます。

この癖を矯正していくためのコツをひとつだけ挙げるとしたら、顧客にお応えする言葉の冒頭に「プロの目から見て…」というフレーズを付けることです。(心の中でつぶやいても良いです)

「プロの目から見て、お客様次第です」とは、成り難いですよね。
「プロの目から見て」の後には、プロらしい言葉が続くものです。

判断材料を与えてくれないと、顧客になることに不安を覚えます。
顧客の安心というものは、判断材料のご提供から生まれるのです。

■ 行動へのヒント
□ 顧客に与えるプロの目から見た判断材料について、議論してみる。 


第46回「仕事の矢印」

自分が親になってみてはじめて親の有難みが分かると言われますが、これは、仕事にも共通して言えることです。

 と言うのも、社内で目に触れるものには、何ひとつ当たり前に最初から存在してたものは無く、すべては誰かが意図して仕掛けた結果だからです。
 
 たとえば、お店で扱っている商品ひとつとってみても、

 ・ 誰かが何かの意図をもって、それを取り扱うことに決め、
 ・ 誰かが何かの意図をもって、その場所で売ることに決め、
 ・ 誰かが何かの意図をもって、その価格で合意すると決め、
 ・ 誰かが何かの意図をもって、その宅配業者が配達を頼み、
 ・ 誰かが何かの意図をもって、そのメンバーでチームを組み、
 ・ 誰かが何かの意図をもって、見込み客に販売する

 ・・・というように、どんな仕事にしたって、意思決定を受けた結果として流れているものだからです。

 これらの流れを受取るだけの立場で仕事をしてる人たちにとって、どの仕事も自分の方に矢印が向けられてやってくるものですから、“反応すること”が仕事の定義となります。

       (内向き矢印が多い人の図)
        
            仕 事
             ↓  
     仕 事→ 自 分← 仕 事
             ↑
            仕 事      

 しかし、仕事ができると言われる人たちは、ここが違います。
 
 仕事ができる人というのは、この矢印が自分から関係者に向けて発せられる割合が、圧倒的に多いのです。    
 
       (外向き矢印が多い人の図)
  
               他 人 
                 ↑
         他 人 ←仕 事→ 他 人
                 ↑
  他 人 ←仕 事 ←自 分→ 仕 事 → 他 人
                 ↓
         他 人 ←仕 事→ 他 人 
                 ↓
               他 人
   
 このような流れを発する立場で仕事をしている人たちにとっては、なにかの“反応を起こすこと”が仕事の定義となります。

 仕事を創るというのは、誰かの考える作業をカットすることです。

 自分は反応してしまわないようにしながら、他人には反応させるようにしなければならない、という矛盾と向き合うわけです。

 では、この相手向きの矢印が多い人たちは、最初から矢印が外側
に向けられていたかと言えば、けしてそんなことはありません。
 
 なにかひとつの仕事を深堀りしていく内に同じ職場の人たちから
ある部分で認められることになります。

 小さな世界でも何かを認められて仕事の喜びを知り、その喜びを
他の職場へ拡げようとして横串を通すように努力していくことで、ひとつの矢印を逆向きに変えたのです。
 
   (最初の矢印の向きが変わる瞬間の図)   
 
            ↓
            ↓
            ↓(深堀りする)
            ↓
            ↓
    ← 社内の一番手になる →  
            ↓
            
 外向きの矢印は、会社への貢献というモノサシになるだけでなく、自分が受ける内向きの矢印に対して、感謝の心が芽生えてきます。
    
 感謝の心が、それぞれの仕事の意味を考えるきっかけとなります。


第48回「ニーズとウォンツ」

客単価を上げようと思ったら、ニーズとウォンツの違いを意識した接客を心掛けることが大切です。

「顧客のニーズ」というような表現をどんな時でも多用してしまい、“ニーズ”と“ウォンツ”を混同している人も多いようですが…

それぞれの特徴を端的に述べると、

 ニーズ  = なきゃ苦痛
 ウォンツ = あれば快感

というように、似て非なるものです。

 ・ 苦痛 = 最小限で逃げきりたい
 ・ 快感 = いくらでも歓迎したい

というのが、人間の性だからです。

つまり、ニーズ < ウォンツ で出費額が大幅に異なってきます。

例えば、必要な消耗品は、1円でも安いものを折込チラシとかで探し回るような人でも、趣向品であれば、借金してでも買います。

先日、新人の販売スタッフから、以下のような質問を受けました。

「先ほど、(私が接客した)お客様は修理部品をお探しでしたが、残念ながら該当はなく、その旨を丁重にご説明しました。しかし、あなたは同じ顧客に最高級クラスの商品を販売しておられました。最低限の商品を最低限の修理をして使っていきたいという顧客が、一転して高額品を購入したことに驚いたのですが?」

というような内容でした。とても素朴ですが、良い質問です。  
 
ここで大切なポイントは、3つあります。

1つは、「ウォンツを意識した接客を心がける」ということです。
 
誤解を恐れず言うと、衝動買いをいただける接客が良い接客です。
 
なぜなら、人の頭はニーズ(痛い=嫌)で占められることが多く、ウォンツ(欲求)は、売り手が「なるほど、そうだったか!」と、気付かせて差し上げない限り浮上してこないことが多いからです。

ニーズ接客であれば、ただ来た球を打ち返すだけに過ぎませんが、ウォンツ接客ができれば、自分の側から提案することができます。

それを手にしたら待っている世界を想像してもらう、ことです。

2つ目は、「パーソナルな接客を心がける」ということです。

“不特定多数の来客がある中で、どれだけ個別対応ができるか?”ということが大きな差を生みます。

例を挙げればキリがありませんが、“個”を意識した接客です。

販売員が自分のためにスマートに動いてくれていると感じたら、財布の紐は、確実に緩むだけでなく、ファンになってくれます。

会社の都合を全面に出して押し付ける、ということと真逆です。

3つ目は、「イベントに立ち会うつもりで対応する」ことです。

販売員にとっては、何の変哲もない日常茶飯事の売り場でも、顧客にとっては、何かしらのイベントであると考えるのです。 

「このお客様のどんなメモリアルに関われるのだろう?」という気持ちを持って接客にあたることです。

誰かがお金を使うことって、すべてがイベントなんですよ。
イベントだから、誰かと関わっていたい。
だから、わざわざお店にお越しになるわけです。

それができなきゃ、接客なんか受けずにネットで済ませます。
 
上記の3つのポイントは、「知ってる」や「分かってる」は重要ではなく、問題は、どこまで意識して実行しているかです。

【行動へのヒント】
ニーズとウォンツの違いについて、議論してみる。


第49回「競合他社」

面接でたまに使う質問の一つに、こういう内容があります。

「あなたが接客している顧客との会話に耳を傾けていると、ぜひ顧客に提案したいと思える商品が見えてきました。ところが、それは、あいにく自社が取扱う商品ではなく、直ぐ近くのライバル店の商品がピッタリだと思えました。さて、あなたならその顧客にどのように対応しますか?」

視点や回答の基準をどこに置くのかによって、思惑が交錯してしまい、いろいろな答えが出る珍しい質問の一つです。   

どんな答えを正解と思うかは、もちろん人それぞれで良いわけですが、私個人の価値観としては、「もし、プロの提案としてベストと確信する商品がライバル店にしか存在しないのであれば、快くご案内する」というような回答を好みます。

「ライバル店の入口までお連れする」ということでさえ、自店の状況が許される状態であれば、やり過ぎではないくらいです。

なぜなら、たとえその場では自店の売上に繋がらなくても、顧客が結果的に満足な買い物ができたなら、ライバルを含めたその地域に顧客が残るからです。

私たちが自らコントロールできるのは、内部要因だけです。

ライバル店の存在があるから売上が下がってしまうという発想しか持てないお店は、たまたま競合がないおかげで、それまでソコソコの売上を保てていただけだと考えるのが自然であって、ライバルの存在があっても売上は上げることができると考えているお店は、ライバルと切磋琢磨があって比較されるからこそ、それぞれの魅力が際立つという発想を持つことができるのです。

自分達の商売が、ライバルと一線を画している場合に限っては、ライバルが出店して来るという外部要因で売上が下がることはありません。

逆に、その地区に1店舗しかないという存在だけで売れている恵まれた環境に甘んじてばかりいるようなお店は、そのお店の不満足に我慢できなくなった段階で、やがてお店の前を素通りされながら、わざわざ隣町まで出かけられてしまうのです。
恵まれたオンリーワンであることは変わらないとしても・・・
 
商売が不調な経営者は、自分の店だけしか見えない“点”発想になりがちですが、商売を好調に保つ経営者は、『「○○街」とか「××ストリート」と呼ばれるくらいにまで、地域全体で力を合わせて顧客を虜にしよう』というように、“面”発想ができるのです。

自らの商売が、その地域全体を牽引したり、その業界全体を盛り上げたりするためにどうすれば良いかという大きな視野を持って、日々の商売に当たりたいものですね。

【行動へのヒント】 
点ではなく、面で売上を拡大する方法はないか、考えてみる。

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